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世襲

 世襲・・

最大の世襲は天皇家だが、いろいろあるんだよな、ミニミニ世襲が。

もうこの歳になると、持ってることより持ってないことの方がずっと自由で穏やかで楽しく生きていけるんだということが分かる。若い時は、なんで才能ないのキー、とか思ったものだが、そういうのあると「それの管理メンテ」が大変だよ。期待も大きいだろうし。

誰にも期待されない喜びは格別である。

でも毎度書くが、人は生まれる家を選べないのである。世襲の家に生まれるというのはきついことだろうな、と思う。才能の有無も問われないなんて残酷なことだ。

うちは宝生流能楽堂の上にある家だが、ここに45年も住んでると、いろんなことがわかる。調べて貰えばわかると思うが、いろいろな騒動があって今に至り、当主は18代か?絶対男の子を産まなきゃならんし、その子が他の分野に行くことは許されないんだし。

このての古典芸能が、どれだけ文科省から援助を受けてるか知らないが、必ず文科省の人が天下っているね、私の自転車が置いてある場所は、楽屋口にあたるが、公演日は高級車が並ぶ、こういうカラクリでこのての古典芸能は廃れているんだな。

私なんぞ、そこが売った区分所有を2つ持ってるだけだから、反対、だのふざけんなだの適当なヤジを飛ばしてればいいが、当主はこの流派の存続や収益や一門の発展やご自分の芸やら考えて大変なことだろうよ、よく近所のローソンでお見かけするが、お疲れの様子。新興宗教家に頼るのもわかるわ。

しかし芸能は特殊の一部しか来ないようなものにしては、先がないのである。西洋音楽は一応全ての人に開かれている上で、小学校から教えるので、誰でも演奏家になるチャンスはあるし、趣味でならうのも習いやすい。私が大学に在学しているときに日本の古典芸能の単位がないと教職免許が取れなくなったんだと思うが、やはりあまり馴染みがないから「暗記」に過ぎなく、能楽堂の上に40年も住んでて能は4回ほどしか見たことがないのである。

世襲にして門外不出のようなカラクリは、宗家は儲かるかもしれないが、普及しないから先がない。

歌舞伎はもう少し皆に開こうといろいろ努力してるんであろうし、多くを知らないが、今回の事件で知ったが、やはり血のつながりを大事にする芸能のようですね。

それは西洋音楽とて、3歳くらいから環境としても身近にあって、ましてお父さんが師匠だったりすると厳しさが違うだろうし、ある程度のところまではいくだろうが、才能のある「在野」には敵わない。

古典芸能も開いてみればそうなのではないか?

誰々の先代がどうのこうのの「繋がり」好きな人々はいるが、全く興味のないほとんどにはどうでもいい話であり、芸能というものは皆のブルシットジョブの気晴らしにあるだけなものなんだよな、その「修行」がどんなに難しく「高尚」であろうと、ということは常に思っていなくてはいけない。

クラシック音楽というものもすごい力のあるものだが、やる側に立つとしたら才能のない多数に於いては苦行でしかないので、ついついそういうことを見せてしまいがちだが、苦しんでいることを見せるのも見るのも悪趣味というものだ。

観客の話。

日本の古典芸能もクラシック興行も日本の「おばさん」「おばーさん」に支えられているが、戦後高度経済成長時代もとっくに終わり、その時代に生み出された「専業主婦」という特殊事情は3代と続かなかったのである。

労働に男女差別があってはならないのと同様「閑」も誰かが独占するのはいけないということになってしまった。それが良いとか良くないとかそういう「道徳」で歴史は進まないので、それが史的必然である。さらにそれは「おばーさん」にまで及んでいて、年金は出ないし、少ないし、みんな不安で古典芸能やらクラシックなどにうつつを向かしている場合ではなくなった。

芸術はいつでも金がかかるので(やるのも見るのも)ゆとりのあるところにしか発生継続できないとして、もう時代は各種エンターテイメントが安く手に入る時代、ますますこれら「めんどくさい芸能」は特権階級のものになり、廃れていくだろう。

 でもよ、と思う。宝生能楽堂の上の一室で思う。このてのめんどくさい芸能の中に潜む全てを抉るような「真実」。それを自分では表出することもままならない才能でしかないが、感じることくらいはできる。クラシック音楽は習得することがとても難しいジャンルだが、すぐできないことが好きな「変態」にはぴったりな趣味である。その「趣味」普及に貢献、上手くならなきゃ面白くない、でも誰でもできるところがクラシックのまだ良い点だ。誰でもできてやっぱり誰にもできないのだが。初めから閉ざして特権階級の「仕事」にしてしまうと観客もまた育たないのだ。そういう意図で二期会マミーシンガーズを始めたんだが、小学校の教室でゲリラ的にオペラをやるとか、そういうことで次世代の耳は育っていくのだと思う。それが次の観客になってくれる。

 今日はピアノのレッスンだけど、もうピアノは弾けないの前提でやってるからいい。うたはまだ上手くなりそうな幻想を育てがちなジャンルである。でも先週の生徒(80)のリサイタルなんか聞くと、諦めないことが大事かと思う。体幹からくるような音が出せたらいいじゃん、それは幾つになってもできるし、続ける才能があればいいのである。

 それを放っておいて死ぬわけにも生きるわけにもいかないのである。成し遂げないと成仏できない何かだよ。

 

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