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その人の「理由」

 人は「その人の理由」で死ぬね。

 その人の理由が煮詰まって死ぬというか、度を越して死ぬというか。でもその「理由」とは「生き方」だったり「ポリシー」だったりするわけだから、まあそれを全うして死ぬんだろう。

 そう思うとなんと人間の間抜けで愛おしいことよ、と思う。

「自分の理由」は自分には分かりにくいが、他の人の反応とか、どうしてもそうなってしまう癖とか考えると少しわかる。

 近現代のオペラの登場人物は、もう憎いほどに「その人の理由」で破滅していくが、それが「音」の表現としても矛盾がなくて、今更ながら驚くことが多い。例えばトスカって綺麗な歌姫ではあるが、1オクターブいきなり跳躍が多い。激しやすい性格なのだと思う。人をいきなり刺す伏線はもっと穏やかなシーンから散りばめられているのだ。

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 自分の声が分かりにくい、というのはもうこの仕事を長くやっていて、毎日思うが、他人のことは割とわかるのであるが。他人のことは一つの方向を見つけやすいのである。全体を外から眺めているからだろうと思われる。類型化、などということもできる。それは失礼に値するが、どう考えても人はいくつかのパターンに分けられ、それがわかると進みやすいし、でもそこから脱出しようとしてうちに来るわけだから、そこわかった上でその人が登りやすい梯子をかけるというような行為だ、教えるとは。

 自分は中から見る、というか見られないわけだから、感じる、ということ以外無効である。鏡で見る、とか、虚像とまでは言わないが、その場合人は自分の「見たいところ」しか見ていない。中で感じてる自分が自分の全てだとするなら、なんと掴みどころのない頼りないものだろう。

 それを例えば「声楽」をやってみる、とかその他なんでもいいが、やってみると、自分が外に出るじゃないですか、それは少し客観できる何かなのだとは思うが、まあ難しい。「そんなつもりじゃない私」満載ですからね。

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土建屋:まあうたの話から始まってますね、ホームページ屋のいうことを結構守るんですね、先生は几帳面だから。

先生:そうです。そして最近マンションの入り口付近になんか窓口なんか出しちゃって、なんですかあれは?人生相談コーナーですか?

土建屋:な訳ないでしょう。建て替えに関するいろいろなご質問にお応えするためにおります。

先生:その前の椅子で時間調整してからいらっしゃる生徒さんが気まずくて迷惑です

土建屋:もう終了しましたよ。やりました、っていう既成事実作りですから。

先生:そういうつまんない仕事はしないようにしましょう。もうどんどこブルトーザー持ってきて潰してしまえば良いではないですか。

土建屋:そんな暴力的なことは法律違反です。ちゃんと手続きを踏んでいるんじゃないですか

先生:手続きを踏んで「暴力」を振るう、という感じです。私にしてみれば。

土建屋:まあ仕方ないですよ。民主主義の社会なのですからね。みなさんの総意で進んでいくのです。反対少数意見はどうしても取り入れにくいですが、然るべき考慮はしているつもりです。最大多数のための幸福を目指すしかないですからね。

先生:いや、良いんですよ。確かにどんなものも変容し変わって行きます。仕方ないと思ってますよ。でも「建設的」とか「正しい」とかそんな感じでなく、めんどくさいけどしょうがないからイヤイヤやってほしいんですよ。

土建屋:そんなことしたら上司に怒られますからね。飛ばされるかもしれない。私はもうここで定年です。それもこれも3流大学だからですが、だからこそ誠実に上の言うことをきちんと守り働いてきたのです。高校の時もう少し勉強してたらなあ、などとみんな思うんですよ社会に出たら。でもできなかったなあ。親が悪いなんて絶対思ってませんが、田舎でね、塾に行くほどのお金もなかったし、東京の大学にやってくれただけでも感謝しています。

先生:土建屋さんはその真面目さと逸脱しない思考とどこまでも凡人を全うしようという、つまり線からはみ出ないようにしようと言う、その生き方が煮詰まって死ぬんでしょうね。

土建屋:具体的にはどんな感じで死ぬんでしょうかね?なんか先生の詭弁にハマってしまいましたが。

先生:きっと奥様もその土建屋さんの心情のシンパでしょうから、二人で老後は年金を超えない生活の中で近くの江戸川を毎日体のためもあってお二人で散歩して蓬を見つけて餅に混ぜて食べて季節を感じたり、に幸せを見つけたりするんでしょうね。

土建屋:まさか、その餅を喉に詰まらせて死ぬとか言うんですか?

先生:そう言うこともあるかもしれません。大声で怒鳴ったり泣き叫んだりのない生活は喉周りの筋肉を退化させますからね、嚥下障害が起きやすいです。でもそのような激情を伴わない生活が起こす病気は何も嚥下障害だけではないのです。血流も滞るでしょうし、脳細胞も不活性化します。毎日ラジオ体操して河原を一万歩歩いて、10種類の野菜を食べてタンパク質も摂って・・などという「正しい生活」には何かが足りません。矛盾するもの、混乱、背反するもの、争うもの、なんだろうな、そう言う不純なものがあるから人は沸点が高くなるのですよ。純粋な生活はさっさと沸騰して蒸発してしまいます。ま、それが土建屋さんの死因ですよ、きっと。

土建屋:ではお聞きしますが、先生の想定される死因はなんなんですか?

先生:そうですね。さっき書いたように自分のことはよく分かりませんが、多分私はお人好しのおちょこちょいなので、人とか猫とかのために何か買いに行った帰りかなんかに転んで死ぬとかそういうオチだと思います。あまり体のこととか自分を大事にしてないので、そしてそういうことがアウトローでかっこいいとどこかで思っているくらいにおちょこちょいだから、発見が遅れたがんで死ぬとかもありだと思います。

土建屋:どっちがいいか分かりませんね。

先生:つまり生き方は死に方なんですから、あっちとかこっちとか選べないものだと思いますよ。

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選挙制民主主義などやめてしまえ、その方式は一番人の上に立ってほしくない人を選ぶ方法だ、と私は中学の頃から考えていた。くじ引きか輪番制民主主義はどうなんだろう。その後裁判員制度というのも出来、なんとなく機能してるならアリなのではと思ってきたが、最近流石に政治というものがあまりに滑稽で、なんとその話は信憑性を持ってきているようなのであるよ。こうなってみるとあと20年もしたら世の中は大きく変わるのではないか?そう思うとなんだか長生きしたくなってきた。ますます少子化で硬直化した老人ばかり、若い人達、君たちの頭脳にかかっている。なかなか老人が死なないのは彼らは清濁合わせ飲んできたからね、競争にさらされて理不尽なことも多く、つまり不純で昇華できないのだ。「22世紀の民主主義」成田悠輔(SB新書)この著者とそのお友達十人くらいで今の何十倍もマシな政治ができると確信する。

 

 

 

 

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