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脱力の未来を

 ロシア文化にはいろいろお世話になっているわけだから、プーチン及び今の政治体制を憎めども、私は親ロシア派である。日本文化が素晴らしいことはこうして日々西洋音楽などを教えているとむしろ徐々に理解されてくるところだが、安倍晋三がバカだからと言って日本及び日本文化がだめなわけではないのと同じである。

 朝はモシュコフスキーのエチュードから練習を始めるが(この人はドイツで活躍した作曲家だが)チャイコもとより、プロコフィエフ、ムソルグスキー、ストラヴィンスキー、スクリャービン、カバレフスキーは私が小学校の頃から幼児ピアノ教育では定番になっている。

ロシア文学というものも高校から大学にかけてかなり読んだが、諸君、もうほんと悪いこと言わないから、ドストの「地下室の手記」というのを読んでほしい。あとチェーホフね、もう老年になって再読したって身につまされる「退屈な話」。こういう大作家の小品の素晴らしいことよ。トーマスマンの「トニオクレーゲル」とか。私の頭の骨格は、高校の時に読んだこの3冊でできている。

 来週木曜日の発表会(4月28日(木)午後4時半から9時くらいまで すみだトリフォニー小、入場無料)だが、ロシア語のうたをうたう人がいるが、旦那さんがベラルーシの人で、二重唱もする。レッスン時、2人でロシア語で話しているが、綺麗な言語ではないか。寒い地域だから外に開放されるような母音はあまりないようだが、それは日本語とも一緒である(日本は外が寒くなくても、「外」を「寒い」と捉える民族である)

 毎日市民が巻き添えになっていく戦争は今回に限らず、いつでもどこでも絶えたことはないが、人類、バカなのか?

 それにしてもショパンコンクールは昨年終わって良かったが(今年だったらきっとまた延期)ショパンの曲なんか聞いてると、こんなもの作りうる人類の計り知れない力に戦慄するが、バカなこともしでかしてバランスでもとっているのであろうか、人類。

 でも、戦争や病気やあらゆる理不尽な離別などなければまたショパンの音楽も生まれなかったであろう(多くの優れた文学等芸術も)

 うたなど稼業にして、あるいはくだらんことブログに書いて逮捕もされない世の中でよかったと思う。日本など造山火山帯の真上に位置して、定期的に地震で壊滅的な被害を受けるんだから、せめて空から爆弾なんか落とさないでほしい。

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頭声に全く入れない人、というジャンルをどう「救う」か(うたいたくもない人にとって大きなお世話だが)が私の最も興味のある分野でかつ仕事である。さらに最近は自信もある。私の先生は、「えーホウツキ、頭鳴らない人間いるの?」っていうが、先生、世の中の人は大多数は声を殺し、精神も窒息させ、フツウが一番と呪文を唱えて生きているんでっせ、それに頭はふつう使うところであって鳴らすところではありません。「ホウツキー頭良すぎるんじゃないの?鳴るところが少ないよ」とかつて指導されたが、それはかなり的確なご指摘である。

 今回の発表会でも地道に努力している人が着実に前進しているのがよくわかり、私は努力というものは必ず報われるんだなあ、とほとんど初めて思った。才能というが、希求する力だよ、時間がかかることなんだと思う。

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毎日悲惨な戦争の映像を見ていると、芸術だけに埋没する生活を送りたくなる、ルードイッヒ二世のように。戦争は終わったのではなく、平和というのは戦争と戦争の間の一休みであったか。

 でも、電車の中で全員が携帯いじっている昨今、嘆かわしいと思ったりしてた私だが(プーチンと同世代)そうやって、自分の昼喰ったラーメンだの、飼い猫のくだらない動画だの、あるいはゲームだの、小室さんが試験落ちただの、そんなもの見たり発信したりしているうちにできたような「つながり」や「つながらない」が、イズムを案外簡単に超えるんじゃないかな、まだ上手く言語化できないが、内容ではなく古い言葉ではあるがメディアはメッセージであるような、そんな新しい未来を考える。何かを信じたり、徒党を組んだり、何かを主義にしたり、そんなことが「悪」というような文脈ではなく、もうなんの魅力も意味も持たなくなるような、脱力な未来を。

 

 

 

 

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