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秦志郎先生

キビシイ前澤レッスンから生還

4小節以上続けさせてくれないのはいいとして、そこでわーーーっと云われたことはその場でインプット、繰り返すときに全部出来なくてはいけないのでここでの集中力はなまじでありません。

ホウツキってすぐ出来て偉いけどすぐ忘れるよねー

などというお言葉も「すぐ出来て偉い」というところだけをありがたく頂戴、

それホウツキの本に書いてあったよねーそれでホウツキが出来ないんだー

はホウツキの本を読んでいただいたというところをありがたく頂戴、

先生について約10年か。

 私はもともとうたをやる気はさらさらなく、普通大学がちっとも面白くなくて中退しかかっているとき、ピアノの練習に謂わば引きこもってたわけだが、このままピアノ教えるのを仕事にしちゃえばいいかなあ、と。実際そのころついていたピアノの先生のめんどくさくて見たくない子どもの生徒を見てたりしたんだが、音大も出てないのにいいのかな?という気分に常になっていて、そんなの武蔵野音大出てますって云っておきなさい、といきなり詐称を勧められ、今ならそんなのどうでもないが、当時20で気が弱かったんで、音大に行こうと考えたわけです。

でもあくまでやりたいのはピアノだったので、ピアノ科は無理だから音教に、しかしそれにはうたが試験にあると聞いた時はやめようと思いました、コンコーネ1つとイタリア歌曲1つでいいんだから、といわれ、とりあえず声楽の先生についたわけです。

はーなんでこんなにできないのかしら?

などと毎回言われ、あんまりうたえないもんで日本のうたに変えられ(それはめちゃくちゃな指導だよー)それも「叱られて」のような難曲・・・(先月のグーでうたってみた。ああこういうのやっとうたえるようになったとうたっててしみじみしてしまった)

こん、と狐がなきゃせぬか?

というところが哀しいではないか

まあかなりこのリート専門の先生をてこずらせていたわけだが、まず私の積年のうたコンプレックスがなかなか声を自由にしなかったんですね、そこをどうにかすんのが教師の仕事、そこ追い討ちかけてどうする、うまい人だけうまくさせられるんなら教師はいらないんである

洗足の冬期講習に行ったとき知っている声楽の先生がいないので割り当てで当たった先生が「秦志郎」であった。ハタシロウと読みます

2回目のレッスンで「おめえ声楽にいけや」などと発言され、大学入ったら二度とうたうまい試験のとき以外はと思ってた私だし、それに入試一ヶ月前にそんなああた大胆な、でも今思えばあながち間違えでもなかったが。

しかしうた教える業とはピアノ弾く業なんである。平日私はだいたい10時間くらいピアノの伴奏弾きっぱなしな毎日であるが、やはりこうなってみると音楽教育科というのは悪くなかったかもしれない。声楽科よりはピアノの試験は厳しかったので。声楽で飯喰いたいならある程度ピアノが弾けるのは大事なことではないかな(例外:伴奏ピアニストが雇えるほどの先生)ちなみに前澤先生は私よりうまい。ピアノにてこずってないので人の音をくまなく聞いてる、へんなピアニストよりうたいやすい

秦志郎先生

北海道教育大に行っていて、将来は中学の先生でもと思ってた彼は、そこ忘れたが何かのきっかけで将来の奥様に一目ぼれ、彼女の両親のところにお嬢さんをくださいと頼みに行くと、うちの子は武蔵野音大(またそこかよ)に行ってピアノを習っております、そんな田舎のフツウ大なんか行ってる有象無象に娘はやれません!といわれ、それならその音楽の大学に行けたらくれるんですか?!いけるもんならいってみな、じゃあ行ってやる!というような流れで大学3年から声楽を習い、卒業と同時に藝大に入学、その後イタリアに国費留学して凱旋帰国、無事彼女をもらいましたとさ、

いい。動機が不純で

発声はYAで音階を昇るだけのものだし、指導といえば途中で「おら、頭割れ~!」とか叫んでるだけだし、体の使い方とか何も教えないばかりか腹式呼吸も教えない、

でも私は始めて声を出す面白さがわかったんですね。それは徹底して喉から放せという事だったと思う、

副科という事もあって、レッスンは毎度誰かの真似で何かをうたってくる私の誰の真似だかの当てっことか、先生の超絶でたらめ伴奏でどこまでうたえるか競争とかであったが、月曜の10時半にレッスンを取っていた1年間はまず3分の1は前日飲みすぎて先生はこられませんでした、コンコーネは先週と同じ曲でも気がつきはしないが、一年一曲で通した先輩もいました。ドイツ語は皆目わかっておらず、Dochをドッヒだと激しく言い張ったり(先生の前ではドッヒーとうたう)体の使い方を恐る恐る聞くと、そりゃホウツキ右足を一歩前だ、などと即答され、おかげで私は長い間右足を一歩前にしてうたっておりましたよ。

でもこの先生に出会わなければ私はいまうたをやっていなかったと思う、「うたうこと」を教えてくれた恩師である。うたうことはうたい方ではないのである。

先週末にお亡くなりになりました。不肖の弟子はレッスンがびっしりで葬式にいけなかったんだけど、ホウツキうたで働いておりますよ、お許しください。先生のCDなんかかけて感傷に浸ってしまいましたが、そうかマスケラの勘違い、その先民謡みたいになっちゃったのは体が使えてなかったから、奥が浅かったからなんだろうなあ。でも丁寧にうたわれておりました、

さようなら。ありがとうございました

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