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生きる糧を与えたもう

 東京国際声楽コンクールPrimaveraの審査。

今回は30人くらい審査してきました。来年は当教室からもっと多く参加してもいいのかなと思った。昨年秋の部は5人くらい参加で好成績。

何か目指すと絶対上手くなると思うので。コンクールだの二期会だのやたら受けまくってた時期があったが、そのうち飽きるというか、何か具体的なものを目指さなくても誰に頼まれなくとも毎日やるようなサイクルに入るので、そこまでは目標があった方がいいと思う。発表会を多くしているのもそういうことです。

毎日やる、でもそういうことばかりしてるとついつい人に聞かせるためにやっているのを忘れるので、そこは忘れないように練習しないと、独りよがりな変な練習をしてしまうが。でも多少な変は、毎日に敵わないというか、荒い練習でも毎日やってる方がいいと私は思っているので、先生方には「練習が荒い」とそのまま指摘されてしまうわけだが。

 何をしてても時間になるとアラーの神に祈る人々のように、それが何になるかをもはや問わないで続行することが一つでもないと人間は下卑る。

 それが仕事とか家事とかではなく、まして消費でなく、抽象的なことであればあるほど人のレベルは上がるんだと信じてやまないので、声楽教室をやっておるわけです。

 例えばピアノの演奏、などというものも、多くが習っている割には定着しない芸当だが会社から帰ってきて、とりあえずピアノ30分弾くなどという人が増えたら、きっと素晴らしい社会になると私は脳天気に信じているのである。

 今来ている小学校高学年、中学の生徒には必ず音階を課しているが、♯♭3つまででいいのですよ。ハノンの音階を全部やらなくてはならないのは音楽を生業にする者たちの場合で、フラットが5つもでてくる曲などほとんどないのである。これをやっていると新曲を見るときに全然違う。手が勝手に黒鍵白鍵を選べるようになる。

 もうほんと、一生の趣味になってくれ!!と祈るように教えている。あなたが悲しい時、周りに誰も信じられる人がいないんじゃないかと不安になった時、何かがうまくいかない時、ピアノは必ずあなたを助けてくれるから。

 うたなんか助けるどころじゃないわ。

うたった途端、「気」が変わるから嫌なことの半分くらいは飛ぶ。軽い頭痛も10分で飛ぶ、30分もやってればナチュラルハイになり、大抵のことはどうでも良くなる。

 人は昔から辛い労働には労働歌というものがあったんでっせ、日本人の子守唄は子守の労働歌なので暗く悲しいのだが(そういうの集めたコンサートを12月に開く予定)ヨイトマケですよ。人はもう逃れようのないほど追い詰められると声を出す、うたを歌う。

 「声楽」を「そこ」から遠くすると「声」は永遠に出ない。出ないというより出る必要がないからだが。

 子育て・・はそれが自分の子でも「やりがい搾取のブラック労働」だよなあ。それに「やりがい」を感じなくなったというか、他でやりがいを見つけちゃったりしたら、もはやただのブラック労働になってしまう。昔は「みんなフツウ」やってるわよ、くらいの理由でやったもんだが、「フツウ」って何だよ、とメタされたらもう「フツウ好きのバカ」には何も答えられないのだ。

 いや、では私が答えようではないか。それは偉大なる暇つぶしだ。

人は自分が何で生きてるかとか、そういうレーゾンデートル系のことを考えるのが一番きついのだ。みんなヘーゲルみたいな脳みそを持ってるわけじゃないからね。子育てとか親の介護だとか真剣にできる暇つぶしがなくてはこの長寿社会生ききれない。

 でもうたがあるから大丈夫。私は下の子できた時、またもう一回やるのかよ、がしんどくてうたを始めたんだった。それが今や商売となって嬉しい限りだが、だから思う。辛いのはうたで逃せる。つまり呼吸で逃せる。さらに言うなら、赤ちゃんはベルカントのうたで泣き止みます。赤ちゃんも発散のために泣いているのだ、腹式呼吸と鼻腔共鳴を使って完璧なるベルカントの師匠である。

 子どもも何となく放っておいても時間が経てば育つが、その時その時は最善を尽くして真剣にやったもんだが、今考えてみれば素晴らしい暇つぶしであったよね、でもそれもほぼほぼ終わり、こうやって熊も跨ぐと言われる「落ち鮭」になっても尚、うたとピアノがあると思えばそれは老後2000万より貴重な生きる糧ではないでしょうか?

 

 

 

 

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